健康とは「気持ちよく動いて生きる」こと
これが整形外科としての当院の基本テーマです。
そもそも「健康とは何か」?
これは意外に難しい質問です。
たとえば医学的には「病気やケガの無いこと」という否定形の答えしか出てきませんが、それでは健康というものの正体がつかめません。
また哲学的な「全体の調和が取れていること」等の抽象的な答えもありますが、そこからは実際に何をどうすれば健康になれるのかの具体策が出てきません。
そこで私たちは整形外科のクリニックとして健康の本体を「気持ちよく動いて生きる」 こととし、そのための具体策として「理にかなった体づかい」を考えていきたいと思っています。
たしかに整形外科の本領ともいえる外科的手術による治療は、本当に壊れてしまった体には極めて大きな威力を発揮します。そのままでは治らないほどバラバラに折れた骨を金具でつなぎ止め、磨り減った関節を人工関節に入れ替えて痛みを減らし、背骨を削って押しつぶされた脊髄神経の逃げ道を作ることで麻痺の進行を防ぐ、どれも世の中になくてはならない大切な大切な技術です。
ひとは生きていく以上、特にこの超高齢化社会では、かならずやどこかしらから壊れ、ついには最期を迎えます。その絶対的な事実の前で,永遠に続く戦いを続けているのが、医師という仕事の現実の姿です。その仕事のかけがえのなさと現実の過酷さは十分承知していても、自分自身のこととして考えたときは、できるだけ最期の近くまでそういった大がかりな医療の世話にならずにすごしたい、と私たちは皆願います。
しかしそれと同時に、どうもそれは何かの器具を使ったり、何かを食べたりすることで簡単に手に入るようなものではなさそうなこともうすうす感づいているはずです。
その間にたって私たちは「理にかなった体づかい」つまり「体をその本来の機能のとおりに生かすこと」を目標とし、そうすることでわれわれの身体を無尽蔵の資源として利用し得ると思っています。
それはもちろん簡単なことではありませんが、かといって一部の天才にしか実現できない絵空事でもありません。これを読んでくださっている皆さん自身が、1歳のころには今とは比較にならないほどの小さな筋力を最大限に生かして立ち上がり、その数年後には丸一日疲れも知らず走り回ってすごしていたはずです。
それは若いというだけで可能なことだと思われますか?
私はそうは思いません。だからといってその答えをすべて知っているわけでもありません。
その可能性の入り口に立って、皆さんとすすむにあたって今言えることはここまでです。
すべては[本当のリラックス]から。